摺動面油の比較

工作機械用摺動面油は大手元売りメーカーのシェアが大きく、元々設備用潤滑製品には特に性能差はなく価格以外に競争力なないものと考えていたため深く考えていませんでした。ところが元売り各社の製品が供給できない事態が続出し、解消しつつある頃になると今度は外資系元売りのシステム変更の不具合から数か月供給がストップした状況が現在も続いています。

お客様には製品が供給できないという状況を避けるため新たに摺動面油の開発に取り組みました。まず国内に多く流通している摺動面油のチムケン極圧性能での摩耗痕を比較しました。すると意外に製品ごとに性能差が見られました。

M社 VG68 S社 VG68 E社 VG68 指定可燃物 弊社スライドウェイE68新開発
5.41㎜ 焼き付きでストップ 8.22㎜ 1.20mm

チムケン試験 条件

荷重 47kg・f/min
テストピース 10φ×14  SUJ2 HRC60
摩擦ローラー 40φ    SUJ2 HRC60)
60秒×820rpm
 試験は3回実施し、近似値の2回の平均としております。

摺動面油は昔はダークカラーの製品が多く現在はライトカラーの製品が主力になっています。これは硫黄系の添加剤の変更ではないかと考えています。いままでの摺動面油は極圧性は優れていたけれどまれに配管つまりの問題がありました。最近はあまりトラブルを聞かなくなりましたがこれは硫黄系添加剤の変更と摺動面油への付着保持剤の変更と考えます。融点の低い硫黄系極圧剤と粘性の高い付着保持剤が長年のうちに分離してしまうことが原因と思われます。

最近の工作機械の精度が向上して以前のような潤滑性能をもった摺動面油は必要ではなってきていることも考えられます。しかし大型の工作機械で高荷重の材料をベッド載せる場合は高潤滑性の摺動面が必要になります。実際にテストしたM社摺動面からC社の摺動面油圧兼用油にコストの観点から切り替えられたユーザーが機械のベッドがかじり修理になったとの報告を受けました。そしてもう一度M社摺動面の戻されていました。

摺動面油は潤滑性能アップと配管つまりのトラブルは従来からのテーマであることがわかりました。