中鎖塩素化パラフィン(MCCP)発売終了について
2025年7月29日付けで国内塩素化パラフィンの供給メーカーである味の素ファインテクノが発売終了と事業の撤退の案内の通知がありました。今年の6月に「結論的には中鎖塩素化パラフィン(MCCP)について金属加工油に使用する場合、2036年まで適用除外になりました。」とコラムに記載しましたが、日本国内での中鎖塩素化パラフィン(MCCP)の大手供給先である味の素ファインテクノが供給をSTOPするとなると中鎖塩素化パラフィン(MCCP)含有の加工油剤製品はなくなると思われます。また終了も2026年6月ということなので急速に長鎖塩素化パラフィン(LCCP)もしくは塩素フリー化が進むと思われます。
加工性については長鎖塩素化パラフィン(LCCP)よりも中鎖塩素化パラフィン(MCCP)を含有している方が優れていると考えられます。このため難削材の高負荷の切削加工やSUSの引き抜き加工やSUSの深絞りプレス加工などの塑性加工では現在も使用されています。従ってこのような分野で影響が出てくるのではないかと思います。
最近では環境問題や廃油処理の問題から塩素化パラフィン含有の切削油は少なくなっていますが、10年以上前までは環境問題や廃油処理の問題も今より大きくなかったこともあり、安価で効果が高いということでかなりの製品に添加していました。
またなぜ塩素化パラフィンが調味料メーカーの味の素なのかということですが、味の素というメーカーは以前より化学素材メーカーとしての側面もあります。元々はうま味調味料のメーカーですが、うま味調味料の主成分のグルタミン酸ナトリウムの原料の水酸化ナトリウムを製造する際の副産物の塩素から塩素化パラフィンを製造するようです。そのため大量に発生することもあり安価に供給できていたと考えられます。
しかし近年製法が変わり副産物として塩素化パラフィンは出てこなくなり、塩素化パラフィンも海外からの製品に変更されています。また使用量も激減していたのでストックホルム条約第12回締約国会議(COP12)で大幅に先延ばしされたといっても発売終了と事業の撤退になったと思われます。
弊社でも以前より塩素フリー製品を進めておりましたが、今後、負荷の高い加工用に中鎖塩素化パラフィン(MCCP)を含有している製品から塩素フリー化もしくは長鎖塩素化パラフィン(LCCP)への代替えの相談が多く寄せられるではないかと考えています。