金属加工油と錆及び腐食について
加工油剤を使用して金属加工を行っていると鉄系材料の錆や非鉄金属の腐食の問題は非常に厄介な問題です。
加工油剤を通じてこれらの課題を改善できる対策を考えたいと思います。
加工油剤には水溶性油剤と不水溶性油剤がありますがどちらかで対策違ってきます。
1水溶性油剤
濃度が適正であるか。
濃度計で測定しての規定濃度にあるかどうがが絶対条件です。また規定濃度にあっても混入油分やその他の水以外の不揮発分の濃度計にカウントされますので実際の濃度は濃度系より薄いことが予想されます。
phが低下していないか。
水溶性油剤は成分が昇華していく傾向があります。鉄系材料ではphが8.0近くになると錆びやすいFC材などでは影響が出てきます定期的に原液補給しph向上剤や防錆剤を補強していくことが重要です。
油剤がミスマッチになっていないか。
基本的に鉄系材料用と非鉄金属用では油剤の添加剤構成が違います。鉄系材料ではphが高い方が有利ですが非鉄用では腐食しやすくなります。できることなら加工材料によって分ける方がベターですが同じ機械で両方やることも多いのでどちらがメインであるかまたどちらが問題が起きやすいがどうが考えて油剤を選定することが重要です。
また特に銅合金用はphの高い鉄系材料の油剤では腐食が起こりやすいので注意が必要です。
2不水溶性油剤
劣化していないか。
不水溶性油剤は水溶性油剤ほど管理は必要ありませんが油剤が劣化して酸価が大きく上昇してしまうことがあります。酸価が上昇すると湿気が多い環境では錆が発生します。油剤が定期的に補給ある場合は酸化防止剤の補強されるのでますがそれでも劣化する前に更油する必要があります。
油剤がミスマッチになっていないか。
潤滑性重視の油剤は極圧剤として硫黄系の添加剤を添加します。硫黄系極圧剤には反応度合が高い活性タイプと呼ばれるものとマイルドな反応の不活性タイプがあります。活性タイプは耐熱合金や鉄系材料には有効ですが銅合金は腐食してしまいます。アルミは問題になりにくいですが銅が含有している材料もあり活性タイプは不適です。銅合金を加工する機会があるのであれば不活性タイプであれ硫黄系極圧剤はない方がベターです。BTA加工油のような活性型硫黄を含有している製品は銅合金を変色させるため同じ機械で鉄系材料と銅合金を加工していると変色のトラブルが起きやすく注意が必要です。
塩素系極圧剤の有無
塩素系極圧剤含有製品は最近では少なくなりましたがやはり加工性が高くステンレス材や耐熱合金の切削、塑性加工には使用されています。油剤の劣化や高温条件下などで塩素系極圧剤は分解すると塩素ガスが発生し急激に錆が発生します。塩素系極圧剤が必要な条件でなければ錆が問題になりやすい一般鉄系材料では出来るだけ避ける必要があります。