米・イスラエルとイランの戦争と切削油の動向
2026年3月現在、イランとアメリカ、イスラエルの戦争の終焉が見えません。切削油、工業用潤滑油を製造販売している弊社でもサプライヤーからの原料不足からの大幅な価格改定や出荷制限、出荷ストップが相次いでいます。そんな中お客様からは確保のための大量のオーダーを頂いています。しかし、やむ負えず弊社でも多くのお客様にいきわたるようにやむなく制限をさせて頂いています。またこれからの価格改定もお願いせざる得ない状況です。多くの切削油の原料は鉱物由来の原油やナフサ由来の石化原料です。ホルムズ海峡(ホルムズ海峡)が閉鎖されている今、切削油にはかなり大きな影響が出ています。ポイントごとに整理します。
① 原油価格の急騰 → 切削油コスト上昇
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約2〜3割が通過する要所です。閉鎖されると
中東産原油の供給が激減
原油価格が急騰(過去の緊張でも即時上昇)
切削油の主原料であるベースオイル(鉱物油)は原油依存のため
→ 製品価格が大幅上昇
特に影響が大きいもの不水溶性切削油(ストレート油)防錆油・潤滑油全般
② 添加剤の供給不安
切削油はベースオイルだけでなく添加剤も重要です。
影響が出る可能性のある添加剤:硫黄系・リン系添加剤などの極圧剤、酸化防止剤、防錆剤など全てです。
ナフサ由来のエチレン原料の界面活性剤、アミンなどこれらの原料・中間体も石油化学由来が多いため影響が大きいです。
→ 供給遅延・価格上昇
③ 輸送コスト・納期の悪化
タンカーの迂回(アフリカ回りなど)
海上保険料の上昇
コンテナ物流の混乱
④水溶性切削油の影響
原油の調達よりナフサ不足が深刻です。エチレン不足が水溶性切削油にどんな影響を与えるか。
日本は原油を処理してナフサを精製するより多くのナフサを必要としており、ナフサもまた中東から輸入しています。日本にナフサの備蓄量は原油は256日に対し20日程度です。ナフサを分解してエチレンを精製しますが、エチレンはあらゆる素材の基礎原料でプラスチックや塗料、界面活性剤などの素になります。したがって医療から塗料、タイヤ、衣料、洗剤などあらゆる分野に影響があります。
水溶性切削油に使われる原料の多くはエチレンを酸化して作られるエチレンオキサイド(EO)系原料です。水溶性切削油は水溶性切削油の機能成分の核エチレンオキサイド(EO)系原料にかなり依存しています。このEO系原料不足が水溶性切削油は早く、強く影響を受けるためかなり影響が予想されます。
ソリュブル・セミシンセ・シンセのどのタイプが影響がありますかという問いには、結論から言うと、ナフサ不足→エチレン不足の影響の強さは次の順です:
シンセティック > セミシンセ > エマルション
シンセティックの特徴は 油分ほぼなし(または極少)のため主成分は水溶性ポリマー・界面活性剤であり、 ほぼすべてが石化原料(エチレン系)に依存するため影響が大きくなります。
⑤将来に向けて
今後、日本の産業を守るためには原油の中東以外の調達のみならずアジア諸国と比べ古い製油所やエチレンプラントへの投資をしていく必要があると思います。
また切削油に関しては鉱物系原油や石化原料からエステル系(植物由来原料)やEO依存低減からバイオ界面活性剤への転換を考えていくことも必要と思います。

