消防法の危険物の規制クリアーできる植物油由来の切削油とは
BTA加工やガンドリル加工など深穴加工、工具研削、歯車研削など重研削加工に最適
植物油由来切削油の概要
切削油は水溶性の製品と油性の製品がありますが加工方法、機械仕様、加工精度で油性切削油を選択されるケースが多くあります。特にBTA、ガンドリルといった深穴加工分野、精度重視される自動旋盤加工分野、歯車や切削工具の研削分野です。油性切削油では工場の消防法の保管数量規制があるため設備の増設やレイアウト変更ができないといった声が多くあります。水溶性切削油で対応されている例もありますが工具の破損や精度の不足が付きまといます。弊社では鉱物油にはない特性を持つ植物油由来のエステル原料に着目し低粘度かつ高引火点油剤の開発致しました。この製品は引火点が250℃以上で非危険物に該当します。また植物由来のためバイオマス度が65%以上であり今後のCo2削減目標にも貢献していけるものと考えています。
植物油由来切削油開発ストーリー
この製品の開発はあるお客様から消防署に危険物の保管数量のオーバーしているのを指摘されその問題の解決の為の製品の開発を依頼されたのがきかっけでした。水溶性切削油では精度が出ないので油性切削油で低粘度かつ250℃以上の引火点を持つ切削油が欲しいとの要求でした。250℃以上の引火点の油剤は平成14年の消防法の改正で危険物から除外され非危険物になったのを受けての相談でした。ユーザーの実機でトライアンドエラーを繰り返し1年以上テストを行い完成しました。これで250℃以上の引火点を持つ製品なので指定数量にカウントしなくてよくなり工場の増築や機械の移動なく現状のままで認可されました。これをきっかけに引き合いが増えてきました。現在、大手重工メーカーでは発電所向けの大型部品加工や防衛分野、工作機械メーカーではマシニングセンターの主軸のBTA深穴加工などいろんな分野で採用頂いております。
植物油由来切削油の今後
植物油由来の切削油は高引火点で低粘度であり消防法の指定数量の制約が緩和されるというのが大きなメリットとして採用頂いておりますが、それ以外にも高潤滑性、環境負荷が低減できるという特徴があります。高潤滑性というのは従来の鉱物油にない極性基というものがあり低粘度でも油膜強度が高い。環境負荷が少ないというのは生分解性があり万が一漏洩しても成分の60%以上が土に帰るという特性があります。植物油由来の為廃油処理時の焼却の際にはCo2の増加の懸念が少なくなります。今までの日本のものづくりでは環境問題は叫ばれていましたが自社のPR中心で自分事として大きな社会や地球を含めたテーマとして考えられているとは感じられなかったのですが、地球規模の環境問題や社会のつながりを同時に解決すべく取り組んでいこうという考えではSDGsの考え方と理解しております。弊社でも貢献できる製品として植物油由来ベースの製品であるケミカットF900シリーズはSDGsの考えを共鳴する製品ではないかと考えています。植物油由来の製品は従来の鉱物油ベースの製品に比べ高価であるが高潤滑であり、生分解が高く、Co2排出の低減につながる製品でありSDGsの広まり共にニーズは大きくなってくると考えております。弊社はお客様ごとに加工油をユーザーニーズに合わせて少ロットで製造していくのが得意としております。今後も多様で高度なユーザーニーズに対応した植物油由来の製品を開発していきたいと考えております。