水溶性切削油の腐敗対策

日々の補給について

水溶性切削油は水に希釈して使用するためどうしても菌やバクテリアが繁殖しやすくなります。
特に夏場やクーラントが滞留する長期休暇には臭気が発生しやすくなります。
そのため水溶性切削油には殺菌剤や防カビ剤、ph向上剤が配合されていますが徐々に劣化しその効果が薄れていきます。
またこれらの成分は熱で昇華されやすく潤滑成分は残っていても耐腐敗性は弱くなってしまいます。
濃度があっても腐敗してしまうのはこういうことも原因のひとつです。
従ってあまり原液の持ち出しが少ない場合は水だけが蒸発し濃度が上昇してしまい水だけの補給をされているケースが見かけられます。
この場合では殺菌剤や防カビ剤、ph向上剤が不足してしまいます。
薄くても原液を都度補給する方が殺菌剤や防カビ剤、ph向上剤が補給され液寿命が延びます。
経験測ですが原液を規定濃度の30%~50%濃度で水補給の度に添加し徐々に濃度が上昇いく状態が良いかと考えます。
毎日の補給は水のみで週末だけ原液を多めに補給するというのは避けましょう。

更油について

更油の3~5日前に殺菌剤を規定濃度投入し通常運転して頂くのを推奨しています。
こうすることで加工室や配管も滅菌され新油投入しても菌やバクテリアがほぼ無い状態からスタートするので液寿命は延びます。
更油してもすぐ臭気が出てくるという問題は解消できます。

カビについて

カビ類はphが高い状態でも発生してしまいます。臭気はあまりありませんがスライム状物質を生成します。このスライム状の物質は配管を詰まらせてしまうこともあり厄介です。カビは多く繁殖すると一度の更油では完全に滅菌するのが難しいケースがあります。数か月から一年ぐらいは更油回数を増やし防カビ剤を投入していく必要があります。また切削液を変更するのも一考です。