BTA加工に求められる切削油について
BTA加工に加工に求められる切削油の必要条件として下記の特徴が挙げられます。
1低粘度であること。
BTA加工はオイルプレッシャーヘッドからワーク工具と工具の狭い間を通り切削加工点に潤滑作用を行い、切り屑と一緒に長いボーリングバーを経てタンクに循環されます。
流動性が良くことまた切り屑の排出も大きな役割でもあり適度な低粘度である性状が求められます。
刃先の冷却効果も低粘度であればあるほど効果的でまた切り屑への付着量の減少し持ち出し量も少なくなります。
しかし極端な低粘度では油膜極度も低下し引火点の下がり危険性が増してきます。
2高潤滑であること
BTA加工は非常に過酷な重切削でありかつ面粗度も求められる加工で切削油においては特に極圧性の優れた製品が求められます。
従ってBTA加工のほとんどが油性タイプであり水溶性切削油での実績は少なくなっています。
弊社でも水溶性切削油をお使いのユーザー様はありますが油性切削油の方が圧倒的に加工が有利になります。
ステンレス鋼の加工では工具寿命は1/10以下にまで下がってしまった例もあります。
特にガイドパッドの摩耗が著しく油性切削油ではあまり見られなかったサーマルクラックという現象が起こります。
刃先の寿命も安定せず突然チッピングしてしまうということも多くあります。
昔は旧JIS2種13号相当の塩素系極圧剤、硫黄系極圧剤、油性向上剤といったシンプルな構成の切削油が主流でしたが塩素フリー化が進み塩素系極圧剤の反応温度の領域をカバーするため複数の極圧剤やFM剤をコンビネーションで効果を発揮するような構成になってきています。
また油性切削油でも極圧能力が低いと送り速度が上げられず切り屑が細かく裁断できる最適な加工条件で加工できず長い切り屑しか出ない加工条件なってしまうこともあります。
無理に条件を早くすると機械が止まってしまい効率の悪いことになります。
従ってBTA加工では加工性から見れば極圧剤がリッチに配合されている耐荷重性ある油性切削油が理想です。
3熱安定性の良いこと
BTA加工は非常に負荷の高い加工のため加工熱が多く発生します。
その加工熱を切削油で吸収いくため切削油は高温になります。
夏場では油温が60℃以上になっている現場もあります。
これでは冷却効果も乏しく工具寿命も切削油の寿命も短くなります。
BTA加工機のタンクが大きくには大量の吐出量と吐出圧が必要であるのとほかに油温が上昇させないといった目的もあります。
最新のBTA加工機には大型のオイルクーラーの装備されてきて切削油の油温も安定できるようになてきています。
潤滑性の高い油剤は熱が加わると分解しやすい傾向にありますがBTA加工油は高温になりやすくタンク容量の大きく頻繁には更油できないため熱安定性の良いことが求められます。
4高引火点であること
特に最近はBTA加工機の新設の際に消防法の危険物保管数量の制限のため第3石油類の製品ではオーバーしてしまうので指定可燃物対応したいという問い合わせが多くあります。
BTA加工機は小型のものでもタンク容量が2000Lになりこれだけで指定数量を超えてしまします。
その他の機械の切削油、設備潤滑油、防錆油、洗浄油等と合わせるともっと大きくなります。
加工能力的にはやはり第3石油類の製品のほうが有利です。
これは切削加工に効果を発揮する極圧剤の種類や含有量の配合できる自由度が多く切削能力重視の配合ができるためです。
極圧剤の多くはどちらかといえば引火点の低いものが指定可燃物切削油では使用できる添加剤が制限されまいます。
コンプライアンス重視、消防署の許可のため指定可燃物の製品しかできないという工場も多くなりました。
弊社では植物由来原料を使用し低粘度、高引火点かつ高潤滑の製品でBTA加工での実績が多くなってきました。
弊社はBTA加工のお客様で加工重視、危険物保管数量重視など個々のニーズに合うベストな提案をできるよう努力していきます。