水溶性切削油 塩素含有品と非含有品の防錆性の違い

塩素系極圧剤含有水溶性加工油と塩素フリータイプの防錆力の違いを試験しました。塩素系極圧剤含有は湿度の高い時期または錆びやすい材料である鋳物では問題となるケースがあります。塩素系極圧剤含有製品は少なくなりましたが過酷な加工では現在でもご使用のユーザーはあります。しかし中鎖塩素化パラフィン(炭素数14で塩素化率45重量%以上のもの)がリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました。中鎖塩素化パラフィン(MCCP)は日本を含む各加盟国で2024年~2025年に規制となる見通しになり塩素フリー製品の開発が多く寄せられています。今回は塩素含有の有無では防錆性の違いはどのぐらいか比較試験を実施しました。

試験条件       

恒温槽温39℃ 湿度80%
材料 FC20
FC20テストピースをそれぞれトルエンとメタノールで洗浄しそれぞれの希釈液10%に3時間浸漬する。
取り出し常温で15時間放置後恒温槽に入れ経過観察する。

 

  塩素フリータイプ 10% 塩素含有品 10%
30分後 5%エッジ部点錆 50%点錆
1時間後 5%エッジ部点錆 50%点錆
2時間後 5%エッジ部点錆 50%点錆
3時間後 5~10%エッジ部点錆 70%点錆

試験開始30分以内で塩素系極圧剤でよくある全体的な錆びが発生しました。塩素系極圧剤は加工性に大きく貢献する反面、防錆力は問題になるケースが多くあります。