切削油の産業廃棄物としての処理について

切削油を廃棄する際は一般的に産業廃棄物となります。環境負荷の少ない油性切削油では再生重油原料としてリサイクル資源として利用できることもあります。この場合は有価物になり産業廃棄物管理票(マニフェスト)を発行しなくてもOKです。一方、水溶液切削油はほぼ産業廃棄物になります。今回のコラムは切削油を自社で処理できる設備を有する大規模な工場もありますが今回は産業廃棄物処理業者に委託する場合を考えています。

廃棄物処理法では排出業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物は自らの責任において適正に処理しなければならないとなっています。従って処理業者に委託する場合でもその責任は排出業者にも生じます。廃油を産業廃棄物として処理を進めることの注意点を示します。

1契約書の締結
排出業者が産業廃棄物の処理を処理業者に委託するには排出業者と収集運搬業者及び排出業者と処理業者の間で二者間の契約を締結しなければなりません。この場合、委託排出業者は収集運搬業者及び処理業者が積み替え保管の有無、取り扱える産業廃棄物の種類などの「事業の範囲」を許可証により確認する必要があります。

2マニフェストの発行
産業廃棄物を産業廃棄物処理業者に委託する場合は排出業者がマニフェストを発行しなければなりません。処理業者が発行しているケースを見かけますが本来は排出業者が発行するものになっています。マニフェスト制度は排出業者がマニフェストを用いて処理業者から終了の報告を受けることにより、処理の流れを自ら把握し委託契約通りに処理されたことを確認することで適正な処理を確保することを目的とした制度です。産業廃棄物処理業者は排出業者からの交付を受けずに産業廃棄物の引き渡しを受けてはならないことになっています。また排出業者、処理業者はマニフェストのそれぞれの写しを5年間保管しなければなりません。

3投棄の禁止
産業廃棄物に該当する廃油の不法投棄は厳しい罰則が定められています。5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科、さらに法人の場合は3億円以下の罰金となっています。間違っても廃油は土壌に撒いたり下水の放流は行ってはいけません。

4環境負荷物質含有切削油からの転換
以前のコラムでも塩素系極圧剤含有の切削油は「塩素ガスの発生のリスクがあり再生重油のリサイクルの循環ができくくなっていています。また処理するにしてもダイオキシンを発生しないように高温で燃焼処理を行えるところも限られています。」記載しましたが、特に塩素含有の廃油は処理が困難になってきています。硫黄系極圧剤も今後、処理に制約が出てくる可能性もあります。環境負荷の少ない油性切削油を使うことで廃棄物にならずに資源にできるので、今後は工具寿命や面粗度といった切削油の一次性能に加えて環境負荷の少ない製品を選定していく必要があり、またさらに植物由来原料切削油ではカーボンニュートラル効果も期待されSDGsの企業でのSDGsの取り組みを進めるうえで最適であると考えています。

弊社は近隣の自治体の収集運搬許可を有し、積み替え保管の許可の取得しています。また産業廃棄物を減量化できる切削油や管理方法を提案しています。お気軽にお問い合わせください。