超硬研削のコバルトイオンの溶出について

超硬材料を水溶性研削油で加工していると段々と赤紫色に着色してくることがあります。これは超硬合金には一般的にコバルトがバインダーとして使用されていますが、このコバルトがクーラントに溶出しているからです。この研削時のコバルトイオン溶出防止は、作業環境や作業者の健康保護、そして環境保全の観点から非常に重要な課題です。、研削時にコバルトがイオンとして溶出し、それが人体や環境に悪影響を及ぼす可能性があります。コバルトイオン溶出の対策について考えてみたいと思います。

  1. 適切な冷却液の選定: 水溶性研削液は研削熱を抑制し、摩擦を低減する役割を果たします。水溶性研削液のpHや成分によってはコバルトの溶出が促進されることがあるため、コバルトイオンの溶出を抑制する専用の超硬専用の研削液が重要です。しかしなかなか完全に溶出を抑えるのは難しいです。定期的な原液補給など濃度管理を徹底することがコバルトの溶出を防ぐ方法と考えています。また、コバルトに対する防錆効果や化学反応を抑制する添加剤の使用も有効です。

  2. 冷却液の循環と管理: タンク内に研削紛が蓄積してくるとコバルトイオンの溶出が増加する可能性があるため、研削液の循環やろ過システムを導入して、定期的な冷却液の交換や浄化を行うことが推奨されます。

  3. 作業環境の管理: 作業場の換気を徹底し、粉塵や研削液の飛散を最小限に抑えることで、コバルトイオンの拡散を防ぎます。また、個人防護具(PPE)を使用することで、作業者の健康被害を防止します。

  4. 加工条件の最適化: 研削条件(例えば、切削速度、送り速度、深さなど)を最適化することで、摩耗を最小限に抑え、コバルトイオンの溶出を減らすことができます。低温での加工を心掛けることも溶出防止に有効です。

  5. 加工機械の検討: 鉄系材料と超硬合金を同じ機械で加工している場合は、鉄系材料の方にコバルトの溶出を防止する防食剤が吸着してしまうので超硬合金単体で加工するよりコバルトの溶出が促進されることがあります。できれば機械を分けることができればクーラントを延命できます。

これらの方法を組み合わせることで、超硬研削時のコバルトイオン溶出を効果的に防止し、作業者の健康保護と環境への影響を最小限に抑えることが可能です。