水溶性切削油の錆を防止するには

水溶性切削油を使用する大きな目的は潤滑性向上による加工負荷の低減、加工時の刃先の冷却による工具寿命のアップが第一の目的ですが、そのほかに防錆性も求められます。しかし水溶性切削油の防錆能力は一週間程度の一時的なものでありそれ以上求めれるのであれば油性防錆油を塗布しなければなりません。とはいっても夏場は湿度や温度、タンク内の金属イオンの溶出で機械やワークの錆が出るトラブルが多くなります。水溶性切削油の錆のトラブルは夏季に集中します。水溶性切削油のトラブルを減らすポイントを考えてみたいと思います

1. 原液または防錆剤の添加

防錆添加剤は潤滑成分などのその他の成分より熱で昇華されやすく早く消耗しやすい成分です。従って持ち出し量が少なく原液の補給があまりない加工では防錆成分は不足しやすくなります。原液を補給するまたは補給が少ないクーラントに防錆添加剤を後添加することで、消耗されていた防錆成分を強化し、錆の発生を抑制します。鉄系材料の防錆対策にはアルカリ分添加と併用すると効果的です。

2. 濃度管理

水溶性切削油は適切な濃度を維持することが重要です。過剰な希釈や濃度の不足は、防錆効果を低下させる原因となります。また日常の管理でも水だけの補給は避け必ず原液を添加ください。濃度が極端に濃い場合や薄い場合以外は添加量は設定濃度の半分ぐらいからスタートしてチェックしてください。

3. 定期的な交換とメンテナンス

切削油を長期間使用すると、切り屑に防錆添加剤が吸着し防錆性能が低下します。速やかに切り屑を除去または定期的な切削油の交換やフィルターの清掃を行い、清浄な状態を保ちます。

4. 機械や工具の清掃

使用後の機械や工具をしっかりと清掃し、切り屑を取り除くことが必要です。使用頻度が少ない治具や工具は清掃後、防錆油を塗布することで、錆の発生を防ぎます。水溶性切削油を使用しないときは、ベット上の治具を取り外し清掃して防錆油を塗布した方がベターです。

6. 温度と湿度の管理

作業環境の温度と湿度を適切に管理することも、錆の防止に役立ちます。高温多湿時期のエアーブローする時の水分も錆の原因です。

7. 適切な切削油の選定

素材や加工方法に適した切削油を選定することも錆防止に重要です。特定の素材に適した防錆性能を持つ切削油を選びましょう。

8. バクテリア対策

水溶性切削油は細菌の繁殖が原因で劣化することがあります。劣化するとphが低下し防錆力が落ちます。防腐剤の添加や定期的な交換を行い、細菌の繁殖を防ぎます。

9.適切な保管と管理

水溶性切削油の在庫は早く回転する方がベターです。長期在庫のものではphや防錆添加剤の効果が低下している可能性があります。

まとめ

  • 防錆剤の添加
  • 濃度管理
  • 定期的な交換とメンテナンス
  • 機械や工具の清掃
  • 温度と湿度の管理
  • 適切な切削油の選定
  • バクテリア対策
  • 適切な保管と管理