切削油のミスト対策
切削油のミスト対策にはいくつかの方法があります。以下にいくつかの具体的な対策を挙げます:
1. ミストコレクターの設置
ミストコレクターは、切削油ミストを吸引し、フィルターを通して浄化する装置です。作業エリアの上方や機械の近くに設置することで、ミストの拡散を防ぎます。
2. 機械のエンクロージャー
機械を密閉するエンクロージャー(囲い)を設置することで、ミストの拡散を防ぎます。これにより、ミストが作業場全体に広がるのを防ぐことができます。
3. 換気システムの改善
作業エリアの換気を強化することで、切削油ミストを効果的に排出することができます。適切な換気システムを設計し、定期的にメンテナンスを行うことが重要です。
4. 切削油の選定
低ミスト発生タイプの切削油を使用することで、ミストの発生を抑えることができます。また、水溶性の切削油を使用することも一つの方法です。
5.切削油の更新
切削油を使用しているとクーラントタンク内には摺動面油や油圧作動油混入してきます。こうした混入油分が切削加工時にミストになることがあります。特にタンク容量の小さい機械での水溶性切削油使用時では水分が蒸発して混入油分の割合が非常に多いケースもあります。この場合はミストというよりは油分が焼けたヒュームという状態の煙になり目が痛くなります。油剤が古くなりミストやヒュームが発生してきた場合は切削油の更新をすることで解決できます。
6.定期的な清掃とメンテナンス
作業場の定期的な清掃と機械のメンテナンスを行うことで、切削油ミストの蓄積を防ぎます。これにより、ミストの再循環を防ぐことができます。
7.作業者の保護具
作業者には、防護マスクや保護眼鏡を着用させることで、切削油ミストの吸入や接触を防ぐことができます。これらの対策を組み合わせて実施することで、切削油ミストの発生を効果的に抑え、安全な作業環境を維持することができます。低ミスト発生型切削油は、作業環境の改善や従業員の健康保護のために非常に効果的な選択です。これらの切削油は、ミストの発生を最小限に抑えるよう設計されています。以下に、低ミスト発生型切削油の特徴とその利点を詳しく説明します。
低ミスト発生型切削油の特徴
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特殊成分の配合
- ミストの発生を抑えるために、特定の添加剤が含まれています。これらの添加剤は、切削油が高温になった際の揮発を抑制します。
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粘度の調整
- 切削油の粘度を適切に調整することで、飛散しにくくなります。高粘度の油はミスト化しにくい特性があります。
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化学的安定性
- 化学的に安定な成分を使用することで、長時間の使用でも劣化しにくく、ミストの発生を抑えます。
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低揮発性有機化合物(VOC)の使用
- VOCの低い成分を使用することで、揮発によるミストの発生を大幅に減少させます。
利点
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作業環境の改善
- ミストの発生が少ないため、作業場の空気質が向上し、従業員の健康リスクを低減します。
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設備の寿命延長
- ミストが少ないため、機械や設備に油分が付着しにくくなり、清掃やメンテナンスの頻度が減少します。
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コスト削減
- ミスト対策のための装置やフィルターの負担が軽減されるため、長期的にはコスト削減につながります。
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環境負荷の低減
- 低VOCの使用により、環境への影響が軽減され、持続可能な生産活動を実現できます。
適用例
- 精密加工:高精度な加工が要求される場合、低ミスト発生型切削油を使用することで、ミストによる干渉を防ぎます。
- 自動車部品製造:大量生産が行われる現場で、低ミスト発生型切削油を使用することで、作業者の健康リスクを軽減します。
- 航空機部品製造:高い安全基準が求められる現場で、低ミスト発生型切削油を使用することで、品質と安全性を確保します。