廃油へのPCB混入の問題について
最近、排出される廃油についてPCB廃油が混入されているケースが発生しており大変問題となっています。過去にPCBは変圧器(トランス)やコンデンサー、塗料、シリンダー油に高濃度から低濃度のPCBが含まれていました。昭和47年以降PCBは製造されておらず本来ではそのほとんどが隔離されてまたは適正に処理されていますが以前のものが残っている可能性があります。そのため由来の分からない古い廃油を従業員様が知らずに誤って通常の廃油容器に混ぜてしまう事例が発生しています。
高度経済成長期には大量に発生するこのPCB含有のトランス油廃油が通称「焼けトランス油」と再利用され多くの金属加工用に流通していました。PCBは塩素化合物でありこれを含有しているため、当時並級といわれていた安価なベースオイルであるマシン油よりも安価でかつそれより切削性が良好であったためと考えられます。これは現在でも昔の「焼けトランス油」は今の切削油よりよく切れたということを言われていた古い時代をご存じの方はおられますがそれは都市伝説かと思います。
このように以前に「焼けトランス油」を使用していた古い機械や油倉庫から出てきた由来の分からない古い油、地下ピットに漏洩していた古い油を処分する際ににはPCBが混入している可能性があり、処理する際にはPCB含有の有無を分析して確認することが必要です。最近問題になってきているのはこのケースと考えられます。
そしてかなり前の世代のことなので工場の管理者も引退されていることが多く当時のことはわからなくなっています。しかし万が一混入してしましますとかなり重大な問題になります。産業廃棄物の法律ではPCB含有したものだけでなく通常の契約した違う性状ものを出した場合は排出業者の責任になります。
仮に収集運搬後に処理場にPCBが混入してしまいますと処理場の巨大なタンクに貯留された廃油すべてが汚染されてしまいます。そうなると廃油が通常の処理工程ではできなくなりタンク内の廃油をすべて汲み出し「特別管理産業廃棄物」として特別なPCB処理の許可を持った処理業者に委託することになります。汲み出し、廃棄処理委託、成分分析、保管容器、場所の確保、行政の届け出、汚染されたタンクの洗浄やポンプ洗浄など莫大な費用と労力が必要になります。またメディアに報じられる恐れもあります。
従って古い機械や油倉庫から出てきた由来の分からない古い油、地下ピットに漏洩していた古い油を処分する際には細心の注意を払い分析したのち処理していくことが必要です。
弊社でも由来の分からない古い油などのPCB分析等ご相談賜りますのでよろしくお願いいたします。
※大阪府が作成しているPCB処理についてのチラシ