水溶性切削油の浸透性と効果について
水溶性切削油を極圧試験やタッピングトルク試験を実施するとシンセティックの製品が潤滑性の基本である油分を多く含有するエマルションタイプより良好な結果になることがあります。これはシンセティックタイプの潤滑剤の開発され配合技術が向上し性能が進化したからです。しかし従来の研削液ような冷却主体のケミカルソリューションをいわれる潤滑成分を含有していない製品では当然従来のエマルションタイプの方が良好は結果になりますが、最新のシンセティックタイプの製品は潤滑性、冷却性といった水溶性切削油の必要な効果をバランスよく発揮できるようになっています。
エマルションタイプの切削油では潤滑性は良好ですが浸透性は劣る傾向にありましたが最新のシンセティックタイプではエマルションタイプタイプと比較して浸透性という効果が強く加わっています。浸透性という効果はどれだけ多く油剤を刃先に届けられるかということになります。多くの潤滑成分や水分を刃先に届けられれば切削性と刃先への冷却効果が期待できることになります。エマルションタイプの高潤滑タイプが加工によっては効果的な場合もありますが最近の高速加工ではやはり刃先に届けられなければ効果は望めません。あくまで例として簡単に示すと高潤滑のエマルションタイプが潤滑成分が10%であり刃先への浸透性10%であればトータルで1%ですがシンセティックタイプの潤滑成分が5%で刃先への浸透性が30%であれば1.5%になります。従って浸透性が良好であればという切削性が向上するのかということではなく潤滑成分を多く含有しているシンセティックタイプでは従来のエマルションタイプよりチムケン試験やタッピングトルク試験では良好が結果が望め、加工法や条件が一致しれば実機の加工でもリンクするのではないかと考えています。
また別の例として長尺のシャフトの旋削加工で従来型のエマルションタイプの切削油に浸透性を向上する界面活性剤を添加して加工テストした際に刃物の寿命が向上しました。シンセティックタイプ同志の湿潤防錆試験でも浸透性が良好な油剤が試験片をの隅々に付着して発錆が少ない傾向にありました。
今後より高速加工になるほど水溶性切削油の浸透性は着目され技術的に進化していくと考えます。
スーパークールWS525Rと他社航空機用エマルションタイプ切削油のチムケン耐荷重試験
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