BTA加工の水溶性切削油検討について
油性切削油でBTA加工をしているが、加工熱で油温が上昇してしまい機械がストップするので水溶性切削を検討したいと要望があり、現在使用中の油剤と水溶性切削油の比較試験をして頂きたいと依頼がありました。
ご使用中の油性BTA加工用切削油と弊社BTA加工で実績のある水溶性切削油スーパークールEMH7Aについての潤滑性と冷却性の試験を実施しました。
ご使用油の金属分析及びチムケン極圧試験と熱上昇比較試験を実施しました。
金属分析から硫黄とカルシウム、亜鉛、リン系の系極圧剤で構成されていると考えられます。
硫黄分の量が多くなっており極圧効果が高いことが推測されます。
1チムケン極圧試験
試験条件
テストピース 10φ×14 SUJ2 HRC60
摩擦ローラー 40φ SUJ2 HRC60
回転 820rpm

チムケン極圧試験ではスーパークールEMH7Aと比較して差がありました。
スーパークールEMH7Aは水溶性切削油として潤滑性能は優秀と考えておりますが、油性切削油と比較すると差が出る結果となります。
2熱上昇比較試験
試験内容200℃の恒温槽1時間に入れた後のSUJ2のテストピース10φ×14を100㏄の各試験油剤に浸漬し3分後の油温を計測する。
試験結果
室温 19℃
浸漬前
油性BTA加工 油温19℃
スーパークールEMH7A 油温18℃
浸漬後
貴社ご使用油性BTA加工油 液温23℃ 4℃上昇 21%上昇
スーパークールEMH7A 液温19℃ 1℃上昇 5.5%上昇
検証
スーパークールEMH7Aの方が良好な結果となりました。
しかし実際のBTA加工現場では水溶性切削油の方がより油温が低くなる傾向になると考えます。
その分水分の蒸発が多くなり水分補給が必要になります。
クーラント量の減少はほとんどが水分であり、水分補給と設定濃度の1/3程度の原液補給をして管理する必要があります。
水分の蒸発時の気化熱が熱を奪うことになるため連続して加工熱が発生するBTA加工においてはさらに試験結果より出るのではないかと考えます。
BTA加工は水溶性切削油で加工した場合、油性切削油と比較して一般的に工具寿命が低下する傾向にありますが、水溶性切削油の方が圧倒的に冷却効果があります。
超硬工具は冷却性が高いほど工具の摩耗には有利に働くのでステンレス鋼以上の難削材では工具寿命が低下するケースが見られますが、一般鋼では特に問題なく長くご使用頂いている実績もあります。
このようなケースの場合にはBTA加工にも水溶性切削油の検討の余地はあるかと考えます。
