水溶性切削油の濃度測定について 1

水溶性加工油剤に於いて大切な項目として液管理があげられます。
不水溶性切削油の場合は製品そのものをそのまま使用しますので切り粉の除去や外部からの異物や異種油の混入の管理以外は必要ないのに対し、水溶性油剤については原液の管理はもちろんの事、希釈したクーラント液そのものについても管理が必要となります。
特にクーラント液の濃度管理が最も重要になってきます。
液の濃度が設定濃度よりも薄ければ防錆性能や加工性能など当初適正濃度の設定時に設定していた液性能が得られなくなり劣化の原因にもなりバクテリアや菌の繁殖から液の腐敗による悪臭の拡散と進んでいきます。
また、かといって濃すぎる場合は問題がないかというとまず不経済であり、また使用している作業者の手荒れや液の泡立ちなどの問題が発生します。
即ち適正濃度での使用が大切となります。
現場での一般的な液の管理方法は果物などの甘さを測定する時に用いる糖度計で検量線より求める方法を使用します。
糖度計は水が水中に入ってくる光を屈折させる性質、及び水に溶けている物が屈折の強さに影響する点を利用しています。
溶けている物質による屈折の程度は物質の種類と液中に溶けているその量に比例します。
ですから、溶液の濃度を測定するの屈折率を使うことができます。
糖度計を使用する手順としてはまず、濃度計のプリズムプレート上に水を滴下してゼロ調整(最近はゼロ調整をしなくてもすぐに切削油を測定できる製品もあります。)をした後切削油を数滴落とし、プリズムカバーを軽く閉じます。
光源(日光か白熱電球の方が蛍光灯よりうまくいきます)の下で濃度計を持って、図に示すような境界線上の屈折率を読み取ります。


濃度計は使い方が簡単で全体として極めて正確ですが、液が「トランプオイル」(潤滑・油圧オイル)で汚染されてくると境界線がぼやけて読みにくくなります。
エマルジョンを硬度の非常に高い水、あるいは非常に冷たい水と混合した場合にもこの境界線のぼけが生じることがあります。

使用中の糖度計 アタゴ社製 master-20α

 

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